筆者:林 輝彦

 これまでネット通販で数々の互換ケーブルを買ってきた筆者が,自身の経験談をまとめます.特にネット通販では,いつのまにか製品が変わっていることもありますし,当然のごとく互換品には何らの保証もないため,筆者自身も記事の内容について保証はできませんが,事実に基づく情報としてまとめました.

 最近のFPGAボードでは,ボード上にコンフィギュレーション・データのダウンロード用IFを実装することが多く,別途ダウンロード(DL)ケーブルを用意する必要がなくなっています.その場合,普通のUSBケーブルをPCに接続するだけで書き込み作業が行えます.
 一方で,ボードの実装スペースやコストの関係でそういったIFを搭載せず,JTAGコネクタだけを実装している場合もあります(写真1).そういったボードでダウンロード(書き込み)するには,使用しているFPGAチップに適合したダウンロード・ケーブルが必要です.

FPGAチップとして,10CL025YU256I7Gが載っている
写真1 JTAG用のコネクタが実装されたFPGAボード

●アルテラFPGA用ダウンロード・ケーブル

 ダウンロード・ケーブルとして,USB-Blaster IIという製品が用意されています.価格が4万円近いので,ホビイストなどの個人ではなかなか手を出しづらいでしょう.サードパーティ製品としてTrasic社からUSB Blasterという製品が1万円程度で販売されています.こちらは古くから純正品に準ずる扱いをされていて互換性などの心配は少なく,広く使われてきているようです.

●互換品のダウンロード・ケーブル

 Amazonなどのネット通販で探すと,かなり安価(2000円以下)なUSB Blaster互換のダウンロード・ケーブルが何種類も見つかります.筆者は,以前からこれらの互換品を購入し,試してきています.多くのものは問題なく使え,ダウンロードの速度も純正品と大差ないようです.ただし,Quartus Primeのバージョンが上がると,ダウンロード・ケーブルをまったく認識しなくなってしまうことがあります.さらにひどいものでは,USBケーブルでPCと接続した直後に,いきなりブルースクリーンになり,PCがOSごと落ちてしまうという,危険極まりない粗悪品もあります.
 ここ数年で試した製品の中では,次の製品は筆者の手元において,最新のQuartus Primeで問題なく使用できることが確認できています.
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00VUWNN74/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o02_s00?ie=UTF8&psc=1

図1 Quartus Primeの書き込みツールの画面

Quatrus Primeの標準的なインストールがされていれば,純正のケーブルと同じように認識され使用できる

 写真2は,2つの製品を分解し,内部の作りを比較してみたものです.
 緑基板の方は,以前のQuartus Primeでは使えていたものの最新のQuartus Primeでは使えなくなってしまったものです.これは,マイコンとしてSTM32Fが使われていました.
 新しいQuartus Primeでも動作を確認できた青基板の方は,マイコン・チップ(表面が削られているので,品番は確認できない)がSOPパッケージのものになり,レベル変換の大きなICは省略され,かなり簡素化されています.ケースのラベルにALTERA-ICの記述が追加されています.

写真2 互換品を分解してみた

 最近(2024年7月)も,楽天で互換品を入手しました(写真3).

 これも今のところ正常に使えています.

写真3 楽天にて1010円で購入

●Amazonで買う人へのアドバイス

 互換ケーブルをAmazonで入手したら,すぐに動作確認をし,問題があるようなら販売元に連絡を取った上で送り返し,返金の手続きを取るようにします.一定の期間を過ぎると返品ができなくなります.

●AMD用のお勧めケーブル

 AMD(旧Xilinx)用の互換ケーブルとしては,Digilent社のJTAG-HS3という製品がユーザの間で定評があり,秋葉原で8000円程度で入手できるので,こちらがお勧めです.
https://akizukidenshi.com/catalog/goods/search.aspx?search=x&keyword=HS3&search=search

はやし・てるひこ

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