2025年9月12日

株式会社ファインデザインは,中国のFPGAボードメーカALINXのFPGAボードの取り扱いを開始した.
ファインデザインでは20年ほど前から,主にAMDのFPGAを使った受託開発を行っており,FPGA内部回路の設計に加え独自のボード設計も行っている.
2025年7月からALINXの製品取り扱いを開始しており,自社の開発案件で採用したり,ボードの外販を行ったりする.
ALINXの製品群には非常に多くのデバイスがラインアップされており,メインボードにFPGAチップが搭載されたものに加え,SoM形体のものも多く用意されている.
●SoMのメリット
近年複雑化するFPGA開発において,SoM(System on Module)が使われることが増えている.通常SoMには,FPGAチップに加え,多くのFPGAアプリケーションで共通的に必要となる電源やDRAMのような要素が搭載されており,FPGAボードの設計工数を減らしたり,納期を短くできるメリットがある.特に,SoCタイプのFPGAが登場してから,電源に求められる要求が複雑化したため,SoMを使うメリットが相対的に高まっているそうだ.
SoMは設計・検証済みであり開発全体の短納期化につながり,低コスト化の要求にも答えられる.ALINXはAMD製FPGAの取扱量が多いため,結果としてSoMの価格も低く抑えられる.SoMと,SoMに内蔵される回路に相当するものを独自に設計製造する場合とのコストを比べると,製造するボードの数が少ない場合には,FPGAチップやDRAMチップ,電源関係部品の部品代の合計値(一般的な半導体ネット商社の価格)に比べて,完成品のSoMの価格が最大で60%程度安くなる.特に単体のデバイス価格が高価な大規模FPGAでこの傾向が強い.
ALINXは中国において,大学などの教育機関向け製品の開発からスタートした会社ということもあり,現在でも中国のオンラインモール上の公式ショップで個人でも購入できる.
現在の所,日本国内での個人向け販売の予定はないが,希望者が多ければ要望に応える方法を考えるとのこと.
ファインデザインでは,「電源のようにコモディティ化した部分はSoMを利用することで開発工数を削減し,各案件に特徴的な部分で自社の実装技術を生かすことで,お客様に価値を提供できます.特に回路規模の大きなチップや,製作するボードの数量が少ない場合(概ね1000枚未満)は,ALINXのSoMを利用するメリットがより大きくなります」としている.
参考ウェブ・サイト
(1)株式会社ファインデザイン